洋塾ブログ担当T
http://youzyuku.blog56.fc2.com/
World Wide Weblog
JAPAN
私塾指導研究会INみやぎ④「水沼一子さん講演会」
2007-09-27 Thu 23:00
 私塾指導研究会INみやぎ、二人目の講師は、宮城県のなかにある丸森町の保健福祉課にお勤めの水沼一子さんでした。もともと保健婦のお仕事をなさっていた水沼さんは、保健福祉課で様々な活動を行なっておられます。その代表的なものが『早寝・早起き・朝ごはん推進活動』です。今回の講演会では、全国から集まった私塾指導研究会のみなさんにも、子どもをとりまく環境について一緒に考えたり、これからの食育活動を共通の意識で推進してほしいという願いも込めて、講演をしてくださいました。
20070922_2_1.jpg

 「食育」という言葉が頻繁にささやかれるようになって、もう随分たちますが、昔は「食育」なんて言葉、なかったよね?・・・水沼さんはそんなきっかけから、昔と今の環境の変化について、わかりやすく話を始めてくださいました。
・・・なぜ食育なんて言われるようになってきたのだろう?
水沼さんは、その原因について、『親から子への伝達』が不十分になってしまったからなのではないだろうか?と、解説してくださいました。
学童期に学ぶべき5つの「食育」
 ○食べ物を選ぶ力
 ○味がわかる力
 ○料理が分かる力
 ○自分の身体を大事にする力
 ○食べ物の命を感じる力
これは、本来ならば親から子へ、その子が親になり、またその子へ・・・と、順々に伝わってくるべきはずのものだったのです。ところが、いつの頃からか『親から子への伝達』ができなくなり、これらの大切な能力を身につけていない子どもが増えてしまったのです。

 水沼さんはじめ食育を推進する皆さんの考え方は、「なぜ伝わらなかった」と過去を振り返って責めることでなく、「これからどうしていったらいいのか」という未来を発展させるための活動に、時間と能力を注いでいこうとするところがポイントです。
食育を伝えるべきはずのお母さんが、それを知らない・伝えられない→お母さん自身もわからないでいることが少なくない。
だったら、子どもに、そしてわからない母に、親でも保育所でも、地域の人でも誰でもいいから教えてあげればいい。・・・それが、丸森町で行なわれている『健康おせっかい族を増やそう』という活動なのだそうです。「おせっかい」は、嫌がられます。でも、おせっかいをしていくことで、わかっていないお母さんを育て、将来親になる子どもを育てることに繋がるのです。
おせっかいかもしれないけれど、自分の知っていることは、伝えてあげる。それが、大切なことなんですね。

20070922_2_2.jpg

 さらに数年前から丸森町では、「おせっかいしてあげようにも、親にはなかなか教えてあげる機会がない。だったらまず、子どもから」という意味合いも込めて、町内にある保育所の園庭に畑を作って、園児と畑とをサポートする活動も行なっています。
 そもそも保育所で、プランターで育っていたミニトマトを、園児が毎日赤くなるのを楽しみにして、「赤くなったら食べていいよ、ただし年長さんから順番にね」というルールでみんなが待ちに待っていたことがきっかけでした。ところが園児全員の分には足りなかった事、そして保育所の先生が子どもたちのためにトマト作りを頑張っている様子を見た推進委員さんが観察・レポートしてくださり、父兄会で発表したところ、父兄が先生にとても感謝したことなどが、畑づくりを始めることにつながったのだそうです。
20070922_2_3.jpg

 園児たちは登園して園庭で遊ぶとき、畑の様子を見に行き、虫の様子を見たりしているそうです。毎日子どもが草取りをしているのです。入園した頃は虫を触れなかった子どもが、青虫を触れるようになったり、先生よりも昆虫に詳しくなったり・・・それというのも、畑作りが好きな地域のおじさんおばさんが、保育園での畑づくりをサポートしてくれているのです。声をかけてみると、地域にはまだまだたくさんの知恵のある方がいらっしゃって、その協力があってこその成功でした。
「とうもろこしって、こんなに毛が生えるんだね!」
子供達の新発見は、感動的です。
普段好き嫌いでナスやピーマンが食べられない子どもが、自分が畑からもいで給食室で作ったものなら食べられる。野菜が育つ姿を見て、子供達は自然に『学童期に学ぶべき5つの「食育」』を学んでいるのですね。(保育所にお迎えに来たお母さんが、畑の草取りを手伝いながら先生と育児や生活について語り合う時間が持てるようになったり、畑を作ったことでその効果たるや多方面に渡り、良い波紋を広げているようです。)
20070922_2_4.jpg

 
 丸森町ではこのような活動を続け、調査のために小学生にアンケートを取った結果、「食事を三食食べる子どもの年次推移」でも三食きちんと食べる子どもが、平成16年度には70%だったものが平成18年度には80%超。「朝食をバランスよく食べる子どもの年次推移」も、バランスがよく食事を取っている子が、平成16年度には30%弱だったものが平成18年度には50%強になるなど、段々と良くなってきています。地域の組織、地域の住民、親、子みんなで活動した成果が出てきているのですね。

 保育所から卒園し、小学校に入った子どもさんが「なんで小学校じゃ畑をしないの?」と言う声をきき、働きかけが若ければ若いほど、変化も早いのだと実感したそうです。これからも、色々な組織、教育委員会などとも協力して、今までなかなか実践できなかったことも、みんなの協力で実践していきたいと願っているそうです。



 『早寝・早起き・朝ごはん推進活動』についても、やはり子どもだけで推進できるものではありませんので、大人の協力が不可欠です。最近の子ども達は寝る時間がどんどん遅くなっていて、21時に寝ている子が「早寝」のような感覚になってしまっていますが、本来乳幼児はもっと早く寝ていて当たり前でした。
 夜中にコンビニエンスストアへ行った時、時折子どもの姿をみることがありますが、子どもの成長にとって、とても良くないことがわかっています。2000ルクスあるコンビニのライトは、夜中の1時2時でも眠れなくなるほどの灯りです。
 睡眠時に出るホルモンには
 ○成長ホルモン(成長を促す)
 ○メラトニン(抗癌作用、老化・性成熟を抑える)
 ○副腎皮質ホルモン(ストレスに対応)
などなどがあり、それらは寝入って最初の深い眠りの状態のときにまとまって出てきます。特にメラトニンは、夜暗くなると出てくるホルモンです。 寝てから起きるまで、何時間もかけてホルモンの働きが行なわれるにもかかわらず、子どもの寝る時間が遅くなれば、当然子どもの能力は変わってしまいます。(詳しくは『夜更かしの脳科学』という本を参照してみてください。)

 水沼さんは資料を使って、早寝・早起きが大切な理由も教えて下さいました。
①成長に必要なホルモンは、夜寝ているときに、たくさん分泌されるから。
②ヒトは朝の光をキャッチして体内時計をリセットするから。
③体温のリズムが乱れると、昼間活動的に生活することが出来ないから。
ということです。色々な事情もあるでしょうけれど、子ども(特に乳幼児)は早く寝かせられるようにしたいですね。しっかりと睡眠がとれれば、子どもの情緒も安定して、脳もよく働くので学力も上がるそうですね。学力上位の子どもに、夜9時ごろには寝ている子が多いという統計もありました。

 色々と健康についてためになるお話をしていただいて、改めて、生活のリズム(早寝早起き朝ごはん)や、バランスの取れた食事が大切なことが理解できました。


 ところで、講演会のなかで、食育とは関係ないのですが、水沼さんの話してくださったことの中に、とても興味深い内容がありました。
 水沼先生は、家庭に帰れば一人のお母さんなのですが、お子さんの成長年齢に応じて、「親抜きで出かけて良い地域範囲」のルールを家庭で決めていたそうなのですが、お友達の家庭ではもっと広い範囲まで出かけることが許されており、水沼さんのお子さんだけがお友達と一緒に遊べず、つらい想いをしたことがあったそうです。

 水沼さん宅の許可範囲は、私が考えてみても「中学生ならそこまでくらいで順当だろう」と思うような範囲です。
 お友達宅が許す範囲まで許可してしまうのは簡単ですが、それでは家庭のルールをやぶることになります。水沼さん宅では、お友達と遊べない(ともすれば仲間ハズレになる)ことも理解した上で、あえて、家庭のルールを守ること(守らせること)を選択したそうです。お子さんは、その時はきっとつらかったことでしょう、お母さんやお父さんをわからずやだと思ったかもしれませんが、私も水沼さんの考えにとても共感しました。家庭の中でルールを決めること、それを家族が守ることは、人間にとって経験しておかなければならない、とても大事なものだと思うからです。物事は臨機応変に対応しなければなりませんが、最低限守るべきことは、守らなければならないのだと、身につけることが必要だと思います。それを子どものうちに身につけることができれば、きっと大人になってからその子が楽に生きられると思うからです。
 出かけて良い範囲や門限をはじめ、何かの規律をしっかりと守る心を育てることで、ゆくゆくは法律を守ったり、人間の道徳を身につけて、理性を保ちながら生活することができるのではないでしょうか。
 水沼さんのお子さんは、現在ではもう大人になり、自分の進むべき進路を選ぶとき、友達と一緒にいたいがために志望と違う道を選ぶこともなく、しっかりと自分のやりたい道を突き進んでいるそうです。


 そのほかにも、様々な話題で問題提起をしてくださった水沼さんには、感謝とともに、これからも丸森町の健康と福祉のために、ご活躍いただきたいと思いました。水沼一子さん、どうもありがとうございました。

別窓 | 私塾指導研究会 | top↑
| 洋塾ブログ→山梨の洋塾をよろしく♪ |
copyright © 2006 洋塾ブログ→山梨の洋塾をよろしく♪ all rights reserved. powered by FC2ブログ. template by [ALT DESIGN].
/